彼の者は、渇望していた。
滾る血液を迸らせるには、牛界は牧歌過ぎた。
理由は無い、あえて言うならば、本能。
魔界とのゲートが開いたとき、気づいたら飛び込んでいた。
魔界…力こそが全ての世界、それこそが彼の者に不足していた土壌であった。
すぐさま闘争に明け暮れ、生活に潤いを与えていった。
とはいえ、魔物の血肉は不味い。
しかし、郷に入れば郷に従え、とはよく言ったもの。
その珍味すら己の糧とし、その肉体を順応させていった。
彼の者、初めての敗北を知る。
これが魔王…これが頂に君臨する力…
この者の下にいれば、さらなる高みへと昇華することができる。
…それも一興か。
斯くして、彼の者は初の牛界出身にして、魔王幹部の1体となった。
たとえ世界を裏切ることになろうとも、滾る血液は止めることなどできない…!
ミノタウロス、いざ、猛進す!!
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